平成30年3月改訂随時改訂



1 はじめに
いじめは、人として許されない行為である。しかし、どの学校、どの学級、どの子にも起こりうることから、校内組織だけでなく家庭や地域、教育委員会はじめ関係機関と連携して「未然防止」「早期発見」「早期対応」に取り組んでいかなければならない。
いじめ問題の防止にあたっては、「学校いじめ防止基本方針」を策定し、校長のリーダーシップのもと学校教育全体、全教職員で組織的にいじめ問題への取組みを行い、子どもの生命・人権を尊重することに全力をつくしていく。子ども一人一人のいのちをかがやかせることができるようにするために、日頃の教育活動のあり方を考え改善し、いじめを生まない学級・学校、人間関係の土壌作りを日々実践していくことが求められる。




2 いじめの定義
いじめ防止対策推進法第2条
「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的かつ物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が、心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。解消が認められても3ヶ月間が経過して完全な解消と認める。

「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応をとることが必要である。



3 いじめ問題に関する基本的な考え方
教職員は、「いじめ問題」について次のような基本的な考えを持って対応する。
(1)
いじめは、どの子どもにも、どの学校にも起こり得るものである。
(2)
いじめは、人権侵害であり、人として決して許される行為ではない。
(3)
いじめは、大人が気づきにくいところで行われることが多く(隠す場合もあり)、発見しにくい。
(4)
いじめは、いじめられる側にも問題があるという見方は間違っている。
(5)
いじめは、その行為の態様により、暴行、恐喝、強要等の刑罰法規に抵触する。
(6)
いじめは、教職員の子ども観や指導のあり方が問われる問題である。
(7)
いじめは、家庭教育のあり方に大きな関わりを持っている。
(8)
いじめは、学校、家庭、地域社会など全ての関係者がそれぞれの役割を果たし、連携し一体となって取り組むべき問題である。
(9)
いじめは、解消されたとしても繰り返されることがある。
(10)
いじめは、解消された後も継続的に心身のケアが必要な場合がり、大変深刻な問題である。

<いじめの態様>
<抵触の可能性のある刑罰>
(1)
冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。
…脅迫名誉毀損侮辱
(2)
仲間はずれ、集団による無視。
(3)
軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり蹴られたりする。
…暴行
(4)
ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。
…暴行傷害
(5)
金品をたかられる。
…恐喝
(6)
金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
…窃盗器物破損
(7)
なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたりさせられたりする。
…強要強制わいせつ
(8)
パソコンや携帯電話・スマホで、誹謗中傷や嫌なことを書き込まれる。
…名誉毀損侮辱



4 いじめ防止等の対策のための組織の設置
いじめ問題への取組みにあたっては、校長のリーダーシップのもとに「いじめ対策委員会」を置き学校全体で組織的に取り組む。その構成員は、校長と、校長が任命したメンバーを基本とするが、校内だけでなく外部にも依頼するなど、事案によって変更や追加を行い対応にあたる。なお、重大事案発生の時は、酒田市教育委員会・酒田市警察署・児童相談所等の監督官庁・関係機関に報告し、会議に入っていただきながら指示・支援を受ける。





5未然防止のための取り組み
(1)
いのちの教育の推進
学校における系統的な「いのち」の教育の推進
第6次山形県教育振興計画に則り、教育活動全体を通じて「いのち」を大切にし、生命をつなぐ教育を推進する。その際、「『生命』の大切さを学ぶ教育プログラム」(平成25年3月山形県教育委員会)等を参考に、児童の発達段階及び各学年の実態に応じて系統的に展開していく。
2
家庭における「いのち」の教育の推進
親子の温かいかかわりを通じて「自分は愛されている」、「認められている」等の児童の自尊感情を高めるとともに、身近な動植物とのふれあいから生命の尊さについて理解が進められるよう各家庭に働きかけていく。
3
地域における「いのち」の教育の推進
児童と地域の方々との様々な交流活動等の充実により、地域の方々と家庭・学校が連携・協働して、児童の自他を尊重する思いやりの心を育てるとともに、「人とかかわる楽しさ」や「人のために役立つ喜び」を実感させる。また、子ども110番や若浜子ども安全サポーター等による子どもの見守り活動等を通じ、児童生徒が安全に安心して生活できる地域づくりを、家庭・学校とともに推進していく。
(2)
道徳教育と体験活動の充実
校長のリーダーシップのもと道徳教育推進体制を整備し、各教科との関連を考慮した道徳教育全体計画・道徳教育年間指導計画(全体計画の別葉)の作成・活用を推進することで、学校教育全体を通じた道徳教育の実施を図る。また、道徳教育の要となる道徳の時間においては、資料の選定及び心を耕す授業作りのための教材研究を推進する。本校児童の実態を踏まえ重点指導項目を定めて指導することを通じ、特に生命尊重や思いやりの気持ちを育み、望ましい人間関係を実現しようとする道徳的実践力を高めていく。
(3)
児童理解に基づくきめ細やかな教育の推進
児童の気持ちの変化を捉える取り組み
日常的な会話や観察、学校全体で行う定期的な「あなたの心元気ですかカード」の実施、個人面談、生活の記録や日記等の手法を取り入れ、児童の気持ちの変化を捉えられるようにする。
2
思いやり認め合う学級づくり
日常的な観察や「Q-Uアンケート」の実施により、学級集団等の状況を常に把握・点検しながら、いじめを生む土壌になっていないかを分析する。また、自他を認め、思いやることができる学級づくりを目指す。
3
家庭や地域と連携した児童の実態把握
保護者や地域にいじめに関する情報を発信すると同時に、児童の気になる様子等について情報や相談をいただく窓口を周知し、学校外における児童生徒の状況把握等に努める。その際、ネット使用の情報についても把握できるようにする。
4
組織的な児童の実態把握と対応
気になる児童の情報等については担任等が一人で抱え込むことなく、校長のリーダーシップのもと「いじめの防止等の対策のための組織」により、学校・学年など組織として対応できる体制を整えておく。
(4)
いじめ撲滅に向けた児童の主体的な取り組み
JRCの精神「気付き・考え・実行する」を活かし、児童会を中心に、委員会や各学級で実態に気付き、改善のための方法を考え、実行していくことができる力を育む。そのために、日常的に学級や学年、学校の実態に目を向ける機会を作っていく。
(5)
情報モラル教育の推進
教職員の研修やPTA研修の実施を通して、情報モラルに関する知識・理解を深めることを通して、各家庭と学校が連携して、児童の情報モラルを高められるようにする。児童へは、メディアとのつきあい方を学校で指導する。
(6)
学校・家庭・地域の連携の推進
学校・家庭・地域のそれぞれに関わるPTAは、家庭内はもとより、地域において児童生徒の健全育成のための関係団体の中核となり、きめ細かく児童を見守ることができる立場にある。また、保護者同士のネットワークを活用していじめに関する情報の収集に努め、得られた情報は速やかに学校に伝達するなど、保護者と学校が情報を共有しながらいじめ防止に努めていく。
保護者は子の教育について第一義的責任を有するものであり、家庭教育の中で児童生徒の規範意識を養い、いじめは決して許されないことであることを児童生徒の意識に植え付ける必要がある。PTA組織を通して、教育の原点である家庭教育についての保護者の意識啓発を図るとともに研修機会を充実させていく。
(7)
教員等の資質・能力の向上
担任力(生徒指導力)の向上
生徒指導を十分に機能させるため児童生徒に対し、自己存在感を与え、共感的人間関係を育成し、自己決定の場を与え、自己の可能性の開発を援助することに留意した指導を学校の教育活動全体を通じて行う。また、個々の児童への配慮等、深い児童生徒理解に基づく指導・支援等を行う。その中で、児童の人間関係を慎重に見抜く危機意識、すなわちいじめの芽に気づく洞察力を高め、認知したいじめについて確実に解消していくためいじめの背景となる要因を改善する指導方法や、いじめの未然防止に向けた学級経営等の在り方について、校内外における研修機会等を設定し、教職員の資質・能力向上に取り組む。
スクールカウンセラーや教育相談員等の専門性の向上
スクールカウンセラーや教育相談員等においては、その専門性を活かし、養護教諭等の教職員と連携し、いじめられている児童を守り抜くことを基本とした相談活動や支援を行う。相談活動で得たいじめの芽やいじめの根っこに関する情報を必要に応じて教職員と共有し、いじめの防止等に向け、共通した方向性をもって指導に当たることが大切である。



6 早期発見のあり方
(1)
教職員のいじめ認知能力の向上
教職員自身の人権への意識、理解を高め、子ども達の小さな変化を敏感に察知しいじめを見逃さない認知能力の向上が求められる。集団の中で、配慮を要する子どもの存在に気づき、子どもの言動や変化から子どもの心の在り方を感じとろうとし、子ども達の言動を共感的に受け止め理解しようとするカウンセリング・マインドを高めていくことも必要である。
(2)
いじめ発見の具体的な手立て(見えにくいいじめへの認識)
学校独自のアンケート(あなたの心元気ですか?)や学期ごとに児童に行われる「いじめアンケート」保護者に行われるアンケートなどのほかに、「担任による発見」「本人や周囲の子どもからの訴え」等が上げられる。いじめは見えにくいという認識を常に持ち、いじめ発見時には深刻な状態になっていると考えて直ちに対応することが必要である。
また、いじめが見えにくい発見しにくいのは次のような点からであることを十分認識したうえで、早期発見と適切な対応に努めていかなければならない。
〇いじめは、大人の見えないところ(時間や場所)で行われている。
・無視やメール手紙など、状況を把握しにくい形態の場合
・遊びやふざけ、被害者が加害者と仲間の一員として見える形態の場合
〇いじめられている本人からの訴えが少ない。
・親に心配をかけたくない。仕返しがこわいなどの心理が働く場合。
〇情報機器を使っている。
・メールやパソコンを敬遠する、またはその逆など今までと違う態度や変化が見られる場合。
(3)
相談窓口などの組織体制(いじめの相談・通報窓口)
子どもがいじめについて相談することで更にいじめが助長されることのないように十分に配慮していかなければならない。子どもや保護者の安全、安心感、信頼感を優先し秘密を守ること、直ぐに対応することを話していく。いじめの相談・通報窓口は担任、養護教諭、いじめ対策委員会であることを知らせる。
(4)
家庭・地域、関連機関への働きかけと連携(いじめのサイン)
より多くの大人が子どもの悩みや相談を受け止めることができるようにするため、学校と家庭、地域、関係機関との連携を強め協力していく必要がある。また、いじめのサインや言動の変化についての認知や理解が深まるような働きかけをしていくことも求められる。



7 いじめに対する措置(早期対応組織的対応)
(1)
いじめ発見時の緊急対応
いじめを認知した教職員は、いじめに関わる子どもに適切な指導を行わなければならない。そして、直ちに、担任をはじめ、いじめ対策委員会に連絡し、管理職に報告する。
緊急対応時の配慮すべき点としては、次のようなことがあげられる。
○いじめられている子どもや、いじめを知らせた子どもを守り通す。
他の子どもたちの目に触れないように、時間や場所に配慮して聞き取りを行う。また事実確認は、被害者・加害者別々に行う。状況に応じて、登下校から校内での生活時間帯は、教職員の目が届く体制にする。
○事実確認と情報を共有する。
事実確認においては、加害者からいじめの経緯を正確に聞き取るとともに、周囲の子どもや保護者などからも情報を得る。聞き取り・対応等は、複数の教職員で丁寧に行う。管理職の指示のもとに、教職員間の連携や情報の共有を行う。

【把握すべきいじめの情報】
※個人情報の取り扱いに十分注意する。
  ○加害者と被害者の確認
…………だれが、だれをいじめているのか。
  ○時間と場所の確認
…………いつ、どこで起こったのか。
  ○内容
…………どんな内容のいじめか、どんな被害を受けたのか。
  ○背景と要因
…………いじめのきっかけは何か。
  ○期間
…………いつ頃から、どのくらい続いているのか。

(2)
いじめと認知した場合の対応(いじめの被害者、加害者、周囲の子どもへの対応)



いじめられている子ども(被害者側)、いじめている子ども(加害者側)、周りの子どもたちに対して、それぞれ適切な対応・配慮が必要となる。

 いじめられている子ども(被害者)に対して
[子どもに対して]
○辛い気持ちを受け入れ、共感することで心の安定を図りながら事実確認をするとともに、「必ず守り抜く」「秘密を守る」ことを伝える。
○必ず解決できる希望がもてることを伝えると共に、自尊感情や自信を高めるようにしていく。
[保護者に対して]
○発見・認知した日に家庭訪問などで保護者と面談し事実関係を伝えると共に学校の指導方針を伝え今後の対応について協議する。
○保護者の辛い気持ちや不安を共感的に受け止めるとともに、継続して家庭と連絡を取りながら解決に向って取り組むことを伝える。
○家庭での子どもの変化などに注意してもらい、些細なことでも相談するよう伝える。
2
 いじめている子ども(加害者)に対して
[子どもに対して]
○いじめた気持ちや状況などについて十分に話を聞き、子どもの行為の背景にも目を向けて指導する。
○毅然とした対応と粘り強い指導を進める。その場合、心理的な孤立感や疎外感を与えないように配慮しながら、いじめは許されない行為であることやいじめられている子どもの気持ちを認識させる。
[保護者に対して]
○正確な事実関係を説明し、いじめられている子どもとその保護者の辛い気持ちを伝え、よりよい解決を図ろうとする思いを伝える。
○「いじめは決して許されない行為である」という毅然とした姿勢を示し、ことの重大性を認識させ、家庭での指導を依頼し、その大切さを認識させる。

○子どもの変容を図るために、今後の関わり方等について助言する。
3
 周りの子ども達に対して
○学級・学年・学校全体の重大な問題として考え、いじめの「傍観者」から抑止する「仲裁者」への転換を促していくと共に、「いじめは決して許さない」という毅然とした姿勢を示す。
○はやし立てたり、見てみぬ振りをしたりする行為もいじめの肯定であることを理解させる。

○いじめを訴えることは、正しい考えに基づいた勇気ある行動であることを理解させると共に、いじめ問題を自分たちの問題でとして意識させる。

(3)
継続した指導体制の確立
○いじめが解消したと見られる場合でも、観察と必要な指導を継続すると共に、随時教育相談を行い状況把握に努める。
○いじめられた子どものよさを見つけたり褒めたりしながら自信を取り戻させる。
○関係機関の活用を図りながら、被害者、加害者双方の心のケアにあたる。
○いじめ問題の発生と解決を契機として、再発防止や未然防止のための取組みの見直しや校内研修を進め、いじめのない学級、学年、学校づくり、仲間作りへの取組みを更に強化する。



8 重大事態への対処



【生命または身体の安全がおびやかされるような重大事案の場合】
○次のような場合は、「重大事案」として対応を進める。
●子どもが自殺を図る。●身体に重大な傷害を負う。●金品等に重大な被害を受ける。
●精神性の疾患を発症する。●相当の期間、欠席を余儀なくされる。●刑法に抵触する。等
○監督官庁や警察などの関係機関に報告し、指示・支援を受けながら迅速に対応する。
○事案によっては、説明文書の配布や緊急保護者説明会の開催を実施する。
○電話対応担当やマスコミ対応窓口を設置し、誠実な対応に努める。



9 いじめ防止に向けての年間指導・活動計画




〒998-0857 山形県酒田市若浜町1-1 電話 0234-23-4138 ファックス 0234-26-8645
(C)copyright 酒田市立若浜小学校 All rights reserved.